今日はチョコレートを一つ頂きました。北大塚のS様から。
85歳の北大塚のS様
春一番まであと一息という春の様な暖かさの中、北大塚の85歳のS様が、お店に現れました。いつもこの時間に現れては、せんべいだのまんじゅうだのを置いていかれます。
自転車の荷台にはいつものように買い込んだ食料品のレジ袋。
今日のお土産は、小さなチョコレートの小箱が一つ。
「これ、食べてっ!」
いつものような元気が有りません。
【近くの市場が閉店します。】
「あんた、そこの市場がやめるって知ってるの?」
私のすぐ近所には、昭和の終わりから30年位営業の、結構名の通った生鮮食料市場が有ります。
年の瀬になると、正月の買い出しのお客様の何重もの列が一日中続いた頃も有り、街の一つの風物詩でした。
営業努力をしなかった訳ではないと思います。
中々頭をあげてくれない景気の動向、昨日のお店のように、所謂、町場の飲食店等の数の減少で、年ごとに客数が減り、いよいよ営業をやめざるを得なくなってしまったというような事を、私も数日前に耳にしました。
確かにこの所、ここ数年、真近で見ている私の目にも、客数の減少ははっきりしてました。
イスに腰を下ろした、S様の口は収まりそうも有りません。
「私は時々、そこの市場に寄っちゃ、ここに顔を出すのが楽しみだったのに、、、 😥 」 さみしそうに語ります。
店の表は南風が強くなってきました。I
元気の無いS様の帰り途が心配です。
ラッパとバズーカ
「ちょっと前までは、経済再建だの、一億総なんとかっていう勇ましいラッパを吹いてたと思ったら、最近は何とかバズーカとか何とかで、景気なんかちっとも良くなって無いじゃない。困ったもんだよねー。私なんか、歳だから構わないけど。」
世の中の流れを良く御存じで。
今日の風のように、何時もよりはちょっと荒れ気味の、御高齢のS様。
どんな理由にせよ、こんなお年寄りに、心配事を作っちゃいけません。
何時もは何か必ず買って下さる、S様。 👿
「じゃ、又来るねー」 今日は手ぶらでお帰りです。
何と無く店を後にされた北大塚の85歳のS様。
北大塚のS様
自転車の後姿がいつに無く、さびしげで、風の強さが気になります。
景気の風は中々、春色に変わりそうも無いみたいです。
市場が無くなると、私の店もとても困る事になりそうです。
自転車姿のS様の、あの元気なお声を何時まで聞けるのか?
寂しい事です。