蓮華座が無い観音菩薩の仏像との出会い|世田谷区代沢にて仏教美術品の買取

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中野通りを直進し、神田川を渡り、東北沢の三角橋交差点を右折。
京王井の頭線に掛かるこの四角い地域。

 

本日は世田谷区代沢に来てます。

 

私の中で何と無くどんな方たちが住んでるのやらと言うのがあります。

ちょっと高貴なイメージがある土地かと思ってたんですが、実際に車を走らせて様子を見ると、非常に穏やかで、都心の喧騒とは違う落ち着きを感じます。

中には、「淡島」なんて場所もあったりして。

淡島って静岡県沼津市にある島なんですけど、
もしかすると何らかのルーツがあるのかもしれませんね。


解体予定の一軒家にて不用品の処分

本日のお客様は、その四角い地域に有る、「淡島阿川公園」からすぐ近く、代沢にお住まいのT様でした。

これからお住いの一軒家を解体されるご予定なんだそうです。

荷物の整理の真っ最中で、不用品を詰め込んだ段ボール箱をなるべく早めに処分したくて私にお声を掛けられたそうです。

 

「口コミと、なんとなく安心できそうで」

 

そんな嬉しい一言も添えて頂き、俄然やる気な私。
作業に入る前に、T様がティータイムをご用意下さってました。

そこでちょっとした世間話に花が咲き、長年、旦那様と自営業を営んでらっしゃるとのこと。米の卸問屋だったとのこと。

時代の流れで数年前に店の営業に一旦区切りをつけて、今後は悠々自適に過ごすために現在のご自宅を手放すそうです。

その後、さっそく1階、2階と拝見させて頂き、
不用になった品物の品定めに入りました。

いくらなんでもここまで来て、空の段ボールだけを車に積んで帰るわけにもいかず

「私を呼んだ訳はまさか段ボールだけとか‥」

そんな一抹の不安もありましたが、

出てきたのは九谷の大鉢、大皿、絵皿等。この手の物、一時に比べて欲しがる人が少なくなりました。

最近の私も、ちょっと買い渋ることもしばしば。

目配せしながらお部屋の中に見える、アンティーク調の時代箪笥、また檜で作られたと思われるチェストに小箪笥。

残念ながら、こちらはまだ手放すつもりは有りませんとの事。


観音菩薩との出会い

観音菩薩の仏像

そして、少し焦りを感じつつ淡々と作業する私の眼前に出て来たのがずっしりとした風呂敷包み。

中から現れたのは、唐金の仏像のようです。
おそらく観音菩薩と思われます。

というのもバラバラの状態で風呂敷に収まってました。

仏像には4つの種類があるんですが

  • 如来(にょらい)
  • 菩薩(ぼさつ)
  • 明王(みょうおう)
  • 天部(てんぶ)

修行中の身で、いずれ如来になるべき身であり、衆生を救うべく励んでいるのが菩薩なんです。

こちらは仏教開祖のお釈迦様が出家する前の姿と言うことで、アクセサリーを着けてます。また、表情は菩薩顔、と言われるように穏やかな表情。

裳というスカート状の物を下半身に巻き付けており、
天衣という羽衣状の物を巻いてます。

組み立て様子を見たところ、光背はあるんですが肝心の台座が無い状態になってました。
恐らく私の見立てでは台座は「蓮華座」と思われます。


私なりの奮発した査定

この「はだしの観音様」、もし折り合いがつけば、私が一緒に連れて返ってもかまわないとの事。

そして私たちの仕事で一番大事で難しいのがお値段。欲しい人にはお宝でも、逆の人には、無用の長物。

今回の観音様もまさしくそのようなアイテム。
一筋の希望と、見えないリスクを胸に、T様に、お値段の提示させて頂きました。

 

「いいですよ、それで」

 

T様は何の未練もないとの事で、お値段はすぐにまとまりました。

私のはかない夢と希望と隣り合わせのリスクを載せて、観音様を連れて帰る事になりました。そして無数の段ボールの山と一緒に。

車中のかな、ちょっとだけ買取のお値段に後悔の念が、
じわっと沸き上がりましたが、グッと感情を堪えて、深呼吸。

恐らくこの「はだしの観音様」が、この一連のストーリをハッピーエンドにしてくれると期待して・・。

途中、無性にコーヒーが飲みたくなりコンビニエンスへ。
最近はこの手のコーヒーもやたら旨くなったなと思います。

体を温めつつ、心も温めつつ。

寒空の中を、一路、地元の千川へ。

世田谷区新町での【万年筆の買取】、【モンブランの買取】。

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「今日は夜阿波踊りで表に出れないのよ!」
「えーっ!!、もうそんな時期なんですか?」
「そうなのっ!」
大塚方面から一週間に一度ほど、重そうな自転車に乗って、店に寄って下さるS様が、近所の生鮮市場で買い込んだ、大量の食品を抱えて、例によって、紙パックのトマトジュースを一本持って、店にいらっしゃいました。
私も以前、大塚の阿波踊りに顔を出した事が有ります。
コメントするとすれば、大変大がかりで、立派な物でした。
私は一回で十分でした。
お近くの方々はご苦労様です。

「これ、飲んでね」
いつものようにトマトジュースを頂きながら、しばしの世間談義。
私は此の時間が結構好きなんです。
S様は、昭和5年生まれでお一人で住んでます。
大塚からうちの店まで、自転車でこられるだけで私は感激です。
私は、お母さんと呼んでます。
「人生なんてね、思い通りになるのは一つも無いの。私は今一人だからいいけど、生きていくのに、大変な世の中になっちゃったわねー。」
戦争を体験されて、現在お一人で生活の女性の言葉、大変重みが有り、いつも勉強させて頂いてます。

世間話に花が咲き始めたころ、「今日中に見て欲しい物が有るんだけど。」
世田谷区の新町からの買取依頼が入りました。
何と無くけだるい暑さの残る環七を一路世田谷へ。
電話のお声が何故か耳に残ります。
とても御高齢の男性の方でした。
かなり古めのガラスの引き戸の玄関から一回のお部屋に通されました。

よくある話でした。
私に買取できる物は何もありませんでした。
電話で、古い時計と、古いオーディオが有ると聞いて出かけてきた私が
哀れです。

感激した事が一つ。
今月中に、ご近所に引っ越されるそうなんです。
部屋の中には引っ越し用の段ボールが多数。
「こっちへ来て見て」と細くて音の鳴る木造の階段を後から2階へ。
偶に前の足が滑って落ちそうになります。
毎日ここでの生活を思うだけで、私の足は竦みそうです。
やっと上がったお2階で、汗だくになって見つけ出したのが、昭和のころの欅の机の引き出しに残った此の万年筆達。
息子さんの物だったらしいんですが何故そこに残ってたのかは教えて下さいませんでした。
荷物を抱えながら、落ちないように下に降りると、白いエプロンの小柄な奥様がいらっしゃいました。手には少し古めの当店のチラシ。
有りがたい事です。
万年筆のお代をお支払いしながら、「お年聞いてもいいですか?」と聞いてみました。
「86だよ。」、、、
横の奥様にも訪ねてみました。
「私は、80なの。」
もうすぐ壊すといわれた築50年は過ぎたと思われる、所々壊れた緑の垣根に囲まれたお住まいを後にしながら、店に残したS様のお元気なお顔が目に浮かびました。
店に戻るとS様の姿は有りませんでした。
お元気に帰られたと思います。
万年筆の中に何本かのモンブランを見つけました。

モンブランの買取

モンブランの買取

それほど古い物でも無く高価な物では有りませんでしたが私には嬉しい出会いでした。
相変わらず暑い日の出会いでした。
大塚のS様、世田谷区新町のN様、有難う御座いました。