川崎氏多摩区での買取。リオサンバとの出会い。

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台東区にお住まいのN様からのご依頼でした。

目的の場所は川崎市多摩区。

読売ランドが一番近い駅だそうです。私の店から40分ほどで着きました。

外観からお部屋の中まで、40年分の歴史と生活の跡がたっぷりと詰まった立派なお屋敷でした。

建て替えのための整理でお部屋に残された物の買取をお願いされました。

人が住まなくなってしばらくたってます。

過去のぬくもり、思いなどを丁寧に包みながら段ボールの箱が膨れてゆきます。

かなりの品物を頂きました。

掛軸、絵画、茶道具、着物、昭和の家具、ランプたち。
一度には積みきれずもう一度来なくてはなりません。

取敢えず私向きの品物が詰まった段ボール箱を10箱以上車に積むことに。

往生しました。

道路から玄関まで12段の立派な階段。更に二階までの階段。

私の肉体からは「ご主人様ご勘弁を!」の泣き声が聞こえます。

物の虜の私には聞こえません。

階段の降り口のバラの木の棘がしょっちゅう背中を引っ張ります。

何回か階段を滑りそうになりました。

私の額の余りの汗に奥様が冷たいサイダーを出して下さいました。

作業の後、庭を見せて頂きました。

綺麗なバラと椿が咲いてました。

建替えで無くなるそうです。

私は薔薇の名前はわかりません。

リオサンバ、ヘンリーフォンダ、アンネフランクの名のバラに出会えました。

リオサンバ

リオサンバ

アンネフランク

アンネフランク

 

 

先程の階段でのつらい上り下りを忘れました。

最後に椿の小さな鉢を助手席に乗せて素敵な川崎の町を後にしました。

 

 

新宿区四谷での、【香炉】、【古伊万里】の買取。

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昨日の、文京区本駒込のG様は、18年でした。
本日、新宿区の四谷2丁目でお会いした、私と同年輩に見える男性のK様は25年だという事です。頭が下がります。
ともに御両親を介護なさってるお時間の事です。
K様は私と同じ、母上だけとの事でした。
私とK様、しばし目と目を合わせて、どちらからとも無く、「何年生まれですか?」
2年私よりお若いとわかったK様、頭の先から、つま先まで、びっしりと詰まってました。
人生の重さと、時間の流れと、意地と自信と、それなりの疲れと。
こめかみの白さが何と無く私と似てます。然し、私よりはるかにたくましく見えました。
暫し、お互いの介護談義。
生きるも助けるも大変な世の中で認識の一致。
そんなK様のご依頼は、地下室に有る古い物を見て欲しいとの事でした。
私のチラシを目にして、何と無く整理をしたくなられたそうです。
階段を下りるとなんとなくひんやりとした地下室。

長い間物置で使われてたそうです。

裸電球に灯が灯りました。
時間がとまった世界に居た物たちが一斉に息を始めました。

古い火鉢、柱時計、花瓶、お椀、食器、座布団、日本人形などが、天井までぎっしりと積まれてました。
かわいそうな物がたくさん見えます。
幾ら眺めてもこれはと思われる物には出会えませんでした。残念ながら。

今日一日での整理は到底無理です。

取敢えず、今日、私に助けられたのが、写真の香炉とか、古伊万里の色絵の大鉢達でした。

この手の物達は、早く日の目を見せてあげねばなりません。

古伊万里の色絵大鉢

古伊万里の色絵大鉢

ややもすると、いつの日か、遠からず、世の中から忘れ去られるかもしれません。

古伊万里の色絵大鉢

古伊万里の色絵大鉢

今、日本の文化が、空気がそんな流れに変わってしまうような気がしてます。今日この頃。

 

豊島区長崎で骨董品の買取。【掛軸】と【長火鉢】。

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店の近所から、「骨董品買って下さい。」

女性のお客様からのお電話でした。

場所はすぐ近く、豊島区の長崎2丁目。

出されたのが写真の掛軸と長火鉢。

これらは最近は骨董品と呼ばれる事が少なくなりました。

最近は行き場の無い掛軸が増えてます。

長火鉢も行き場がせまくなってます。

長火鉢の買取

長火鉢の買取

欲しい人が少なくなってます。

暮が近いので、家の中を整理してたら物置から出てきたそうです。

「もう何か無いんですか?」

「昔はいっぱいあったんだけど、バブルがはじけた頃、うちの人が全部処分しちゃったの。」

大分昔の話になりました。

お歳は未だ、80前の方とお見受けしました。

足腰はしっかりなさってますが、少し耳が遠い御様子。

私も少し耳が弱いんです。

長居は無用の様な気がして、何と無く早めに切り上げさせていただきました。

切手が沢山残ってて、次に又呼んで下さるとの事。

この次は期待させて頂きます。

庭になってた赤い柿。

一枝頂きました。

渋いと思ってかじってみたら、ゴマがたっぷりの甘柿でした。

豊島区長崎のT様、有難う御座いました。

 

新宿区での【長火鉢】の買取。

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今年、61歳を迎える男性からの御依頼でした。
場所は新宿区、神楽坂とのことで訪ねたところ、早稲田通りと新目白との間の、一方通行、坂の多い、緑の少ない街並みの一角の、かなり古い木造のアパートの2階の一室でした。
綺麗に片付けられた畳の上で静かに私を待っててくれたのは、この長火鉢と、歳には見えない小太りの、頭の薄い、眼鏡をかけた、S様でした。

長火鉢の買取

長火鉢の買取

火鉢の上には、当店のチラシが一枚。
2年前の物でした。感謝致します。
国に帰るので一緒に連れて行こうと思ったが、どうしても邪魔なようなので、私に、買い取ってくれとの事でした。この長火鉢。
わけ有りで15年ほど前、東京に来た時、骨董市で買ったそうです。
値段を聞くと、びっくりでしたが、今の状況を説明申し上げ、私の買えるお値段を申し上げ、譲って頂きました。
正直、今ではそれほど欲しいアイテムでは有りません。S様もそんな感じです。
古い物ではありませんが、一部に唐木を使った、上品な一物でした。
部屋の中を物色させて頂きながら、支払いを済ませながらのいつもの世間談義です。
東京に来てから、いろんな仕事を見て来ましたが、結局、山口の田舎に帰り、親戚の畑を手伝うとの事でした。
いま、日本で、給料が上がったと思える人は人口の四分の一位で、残りの人たちはかなり厳しく、自分はそこから抜け出るのがきびいしいと自覚し、ほんとに歳をとってしまう前に、田舎に帰る事に決めたんだと仰ってました。
小説を書くのが夢だったらしいんですが、今回の芥川賞の結果を見て、田舎に帰る切符を買う気持ちになったんだと仰ってました。
私にも何とかわかる気がします。
お返しする言葉が見つかりません。
何とかこの火鉢を次の方にお届けしたいだけです。
狭い階段、15段も有り最後は曲がってました。何とか転げずに、秋晴れの新目白を後にしました。
当店のチラシ、大事にされれてた新宿区のS様有難う御座いました。
故郷でのご活躍、期待させて頂きます。

東京都港区の買取、【几帳】の買取。

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例えば、私の様な存在を何と呼べばと、検索して見ました。
浅学非才、無学無才、、、
まさしく、今日は、身を以てその言葉を実感致しました。
二日前のスーパームーンの置き土産の様な、爽やかな秋の空と、青い風のもと、私は今日の午後、港区のとある高級住宅街の中の、とある高級住宅の門の前にいました。
時たま有る経験です。
足のすくみと胸の高まり。
そこで私が手に入れた物が写真の物でした。
結局、私が頂けたのはこれだけでした。

几帳の模様

几帳の模様

几帳の模様

几帳の模様

当然です。

ご当主はこの品を私に見せながら、いくらの品定めをするのか試されたと思います。

古手の暖簾にしか見えない私の返答を見て、決着は即下りました。

廊下の奥に見えるお宝類には、結局出会う事は出来ませんでした。

“暖簾”を小脇に抱える私の背中で無情に閉まる門の音。
もう取り返しは着きません。
お店に戻り調べました。

これは几帳だったのです。

浅学無学の私には、大変勉強になりました。

几帳面の語源の元、几帳、初めて目にする私を、もう一人の私が冷たく眺めてます。

目の前の几帳、そこに造られた細かな模様には、丸く碧い月の美しさにも劣らぬ、歴史の流れが刻まれてます。

眺めれば眺めるほど、刻まれた模様の奥に潜む、時の流に思いが行きます。

何故か、私にお声をかけて下さいました港区のN様、本日は大変有難う御座いました。

今日で長月の九月が終わります。
私達の商売、月(つき)は大変大きな役割を果たします。

明日からは十月神無月。
どんな月に出会えるやら。

月は十六夜、【豊島区雑司ヶ谷】の、【御簾の買取】

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秋の夜長のこんな夜の、所謂、トレンドワードは、一六夜かなと思って探ってみた物のとんでもない、雅治君と一恵君とのめでた話でした。
まん丸お月さまには罪なお二方。
思いがかなう人と、そうではない方と。

手持ちのカメラで写した今宵の満月。
はっきり見えぬ所がまたいいかもと自分に、言い聞かせたりして。

今日の昼の日射しは、矢張り此の地球の秋の素晴らしさを再認識させてくれるような、素晴らしい、太陽からの贈り物でした。
御蔭さまで、久しぶりの暑さです。

そんな暑さの中、今日の午後、豊島区の雑司ヶ谷にお邪魔いたしました。
雑司ヶ谷墓地の緑と歴史が目と鼻の先のとても静かな住宅地。
表札のかかった門構えを見ながら、私達は、たまには身がすくんだり、心が躍る時が有ります。
まさしく今日のお宅、重くて、大きく、古そうな木戸の門を開けて頂き、一歩中に足を踏み入れ、石畳に足をおろしたた瞬間、身と心が一瞬、呼吸を止めました。
昭和の前から引き継がれたと思われる鬱蒼とした太い幹の木立、家の外壁は茅の様な感じで、ケミカルな、デジタルな雰囲気は一つも目に入りません。
外は太陽が元気ですが、こちらはすっかり夕闇の世界。
今日、私を呼んで頂いた、D様は、こちらに、昭和の頃から住んで来られたそうです。羨ましい限りです。
住まいの中の不用な物の整理で呼ばれました。
私が気に入ったのが此の御簾です。ぎょれんとも呼ばれてます。

御簾

御簾

御簾

御簾

桐の箱に四点納められてました。
この御簾の過去、ここで私が出会ったいきさつはわかりませんが、こんな御簾を通して、どんな方がどんな月を眺めたろうかと、思いが行く、今日の豊島区雑司ヶ谷の買取でした。
とても知的なD様御夫婦、本日は有難うございました。
月はすっかり雲に隠れました。
おやすみなさい。

新宿区での【茶道具の買取】、【蒔絵の平棗】の買取。

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一昔前と言うか、私達の子供の頃の今の時期の日暮れ時に似合うキーワードと言えば、麦わら帽子、虫取り網、青空、夕焼け、蝉の声、、、。
然し今日の日暮れ時はそうでは有りませんでした。
「お母さん。」
「なーに?」
「お日様にも夏休みってあるの?」
「何で?」
「だって最近全然見えないじゃん、お日様。」
「あのねー、誰にでも都合が有るの!」
「もうすぐ、休みが明けるから見ててごらん。」
「そうかなー?」
良く店の前を通る母子の、手にしたビニール傘の中から聞こえる会話です。

人は勝手な物で、太陽に力が無いと感ずると、頭も心も曇りがちになります。
今日は黙って、在庫をいじくる事にしました。
確か、暑さの厳しかったころ、新宿区の何方からか買い取って来た、茶道具の中から蒔絵の棗が出て来ました。
古い物ではありませんが輪島の、蒔絵の平棗です。

蒔絵の平棗

蒔絵の平棗

かなりしっかりした蒔絵の仕上がりです。
買うときにはかなりの金額です。
物によっては欲しがる人の多いアイテムです。
箱を開けながら、確か若い男性からの買取だったと思い出しました。
父の物だったので高く買って欲しいという事で、結構頑張って買取させて頂きました。
これから大切に、新しい嫁ぎ先を探させて頂きます。

横のテレビでは世界陸上との別れを告げてます。
人間離れした選手達の容姿、パワーにひと時の感動を味わいました。
女子走り高跳びの選手達の脚の長さには驚かされました。

一つの夏の終わりを感じます。
早くお日様の休みが明けて欲しい物です。

中軒鷺宮で、【花瓶の買取】、【韓国人間国宝安東五】の花瓶の買取

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朝の、店への道のりの途中に、3本の百日紅が有ります。
それぞれ大きさと色の違う。
今朝の冷たい雨に、3本とも、散り急ぐようにピンクの花びらが地面にいっぱいです。
しばらく見えなくなった夏の太陽、冷たい雨に自分の今年の務めの終わりがわかるように。
晩夏のというか、初秋のというか、自然の気ままな移り変わりにはいつも感心します。

小雨の中、中野区鷺宮の静かな住宅街のT様に呼ばれました。
お庭の片隅にやはり、百日紅が一本。
来月自宅の売却の予定で、室内の不用品を処分してほしいとのことです。
1階2階での五つの部屋には、生活が止まったままの家財がぎっしりです。
涼しくなった自然に感謝しながら、費用の交渉です。
かなりの金額が見込まれ、折り合いまでもう少しというところで、今日のお話は終わりました。

こんな感じの室内です

こんな感じの室内です

 

室内の状況2

室内の状況2

次にお会いする日を決めながら、2階の押し入れから出てきたのがこの花瓶たちです。
韓国の人間国宝、安東五の物でした。

安 東五の花瓶

安 東五の花瓶

ご本人は必要ないとおっしゃいます。
その通りだと思います。
一時この手の物達にも人気のあった時代が有りましたが、今では見向いてくれる人が少なくなるばかりです。
気持ちよく買い取らせて頂きました。
帰りの道にも相変わらず窓にあたる冷たい雨。
碧い空と、熱い太陽に恋しさの募る今年の夏の終わりの一日でした。

文京区千石での【茶道具の買取】、【錫の茶入れ】の買取。

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ガトリンの格、貫禄と、サニブラウンの初々しさ。
スタートまでのアイドリングの間、かすかな夢を見させてくれました。

何事もスタートするまでは夢が広がります。
夢と現実のギャップ、ガトリンが、ボルトが教えてくれました。
結果に打ちひしがれては又、次の夢へ。
いいですねー。スポーツは。
夢と感動を与えてくれて。

私たちの仕事もたまには夢と感動に出会えます。
文京区千石のM様宅に、着物とか茶道具の買取りでお邪魔しました。
着物は桐の箪笥一棹分。買取りできないものも処分してほしいとのことで、半分ほどは買取りの難しい物達でしたが、一枚残らず頂くことになりました。
次に、押し入れの上半分ほどに並べられた茶道具の山。
ほとんどがお稽古用の風炉とか茶椀達。
その中で出会ったのがこの錫製の古い茶入れでした。

錫の茶入

錫の茶入

こう言う物との出会いは、夢を与えてくれます。
お値段もこれ一つで十分です。
気持ちよく譲っていただきました。
文京区のM様、有難うございます。
しばらくは夢が有ります。
夢が感動に変われば最高です。

北京から聞こえる、夢と感動、上海から聞こえる、現実と不安、しばらく観戦です。

目黒区での【茶道具の買取】、【玉川堂の買取】。

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「缶ビールと日本酒が有るんですけど。」
で、お尋ねしたのは、目黒区下目黒のN様。
有りがたい事です、確か去年の暮れにも矢張り缶ビールの買取で呼んで頂いた方でした。
量は多く有りません。
スーパードライの500が一箱と、日本酒が三本、スーパードライは私の好物の一つですから、有りがたいんですが、せっかく目黒まで来て、このまま帰れません。
2回目という事も有り、チョッとずうずうしく「何か、他に御不用の物は有りませんでしょうか?」
で、たまたま、奥様が、出して頂いたのが此の玉川堂の茶入れでした。
いきさつを伺いました。
聞かなければよかったんです。
「この前、骨董品とか、茶道具とか整理して、たまたまこれ一つが残ってたの」
「こういう物って、お宅も買うんですか?」
買いますとも、スーパードライよりは、遥かに出会いたい、買いたい品物なんです。
手あかの付いてるくらい使い込まれ、槌目の肌色の黒さに渋さが出てます。

玉川堂の茶入の買取

玉川堂の茶入の買取

欲しがる人いの多い品物の一つです。
嬉しさよりも何と無く悲しい出会いです。
奥様へのコメントは無しにして、スーパードライが悲しむような金額で買取させ頂きました。
奥様のちょっとびっくりのお顔を後にして、再び日曜の山手通りへ。

今日は何故か銭湯が混んでました。
缶ビールと世界陸上で、今日の疲れを取りたい私。

100メートルの決勝。
10秒足らずの熱い褐色の戦い。
負けましたがガトリンのはち切れそうな筋肉と、輝くような、渋い黒い肉体に久しぶりに感激しました。
今日は黒に感激の一日でした。