東京の豊島区南池袋で、【中国花瓶】の買取でした。

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何と無く近づきにくくなりました。東京豊島区の池袋。
たまたま呼ばれたのが、池袋の東口。
ナビの通りにハンドルを握ります。
目の前に何と無く無機質な巨大な建物、見上げると最上階は殆ど雲の中。豊島区の新庁舎でした。
呼ばれた所はたまたま区役所から道一本離れた10階建てのマンションの9階部分。
御蔭さまで、新庁舎の駐車場を使わせて頂きました。
ついでに出来て間もない綺麗なトイレも使わせて頂きました。
古い庁舎を知る私には、隔世の感です。
トイレを済ませ、庁舎を見ながら、目的のM様のお宅へ。
長い間この仕事をしてますと、何でこの物と、今日ここで出会うんだろうという事がしばしば有ります。

「着物と、桐のタンスを見てくれますか?」
という御依頼でお邪魔いたしました。
目ぼしいというか、私の欲しい着物は殆ど有りません。
最近よく有るパターンです。
桐のタンスは多分高価なものだと思います。
9階からタンス一棹を下ろすのにかかる手間を考えると、最近、、私達の手では殆どお手伝いが難しくなってます。
その辺はM様に納得して頂きました。
何と無く困惑と、淋しげなM様の横顔。
連れて帰る着物をまとめてるときに目に着いたのが、北欧風の古いサイドボードの上に一人佇む此の花瓶。

おじい様の持ち物でした。
私が欲しいなら売って下さるとのこと。
一生懸命買わせて頂きました。
かすかな夢の有る花瓶です。

中国宣徳花瓶の買取

中国宣徳花瓶

朝の涼しさが又いつもの暑さに戻ってました。
夢の有る花瓶と出会えた東京池袋の夏の一日でした。
最後の一言、豊島区の新庁舎、今日始めて行ってみました。
駐車場とトイレしか見てません。親切さが足りない気がしましたなんとなく。
頑張って下さい、池袋!

港区南青山の【掛軸の買取】。【川端龍子の掛軸】。

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「この山はどちらの山ですか?」
玄関に掛けられた大きさ8号くらいの額に収まった西日に輝く雄大な山の写真に思わず足が止まりました。
「鳥海山なの。」
「へーっ、どうしてなんですか?」
「主人の田舎、秋田なんです。写真が好きで。」

昨日伺えなかった、南青山のO様のお宅にお邪魔いたしました。
垣根も塀も無く、道路からすぐ玄関、私の好きなロケーションです。
車を止めると足元にアブラゼミが一匹空を向いたまま黙ってます。
そういえば、暑さの割には蝉の声が少ない様な気がします、今年の夏は。

スリッパに替えると、テーブルの上には一杯の麦茶が待っててくれました。
有りがたい事です。
桐のタンスは丁重にお断り致しました。
着物はタンス一棹から、大島、単衣など、10着ほど、頂きました。
床の間に箱に入った掛軸が2本。
旦那さまが大切にしてた物だそうです。
最近ではそんなに売れる物では無いと思ってたそうです。
その通りなんです。
骨董品の中でも掛軸ほど、見向きもされなくなったアイテムは有りません。特に最近。
然し、よく見ると一本は川端龍子の作品でした。
一時かなり高価で取引されました。誰でも欲しがりました。
今では時たま、悲惨な光景も目にします。

値段によっては、手放しても良いというお話です。

私も若いころ、鳥海山の麓の海辺を歩いた記憶が有ります。
確か、象潟という街でした。
西日に輝く、日本海の美しい海の姿が記憶に残ってます。

何故か今日、ここで出会った川端龍子。

川端龍子の買取

川端龍子の買取

日本海の青い海を思いながら、私も目いっぱい、奮発してみました。
帰り際のO様の優しい笑顔、私の心に一抹の不安。
そんな夏の買取日記でした。

新宿区上落合での14代柿右衛門湯呑揃いの買取

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お尋ねしたお宅の周りの道路事情が良くない時も、例えばその近くに、コインパーキングが見つからなかったり、細い一方通行で、後ろの車に追われ何回も周回したとしても、決して私達は、目的を置き去りにしてはいけません。
いつも、殆ど、見たことも、有ったことも無いお客様に出会うため、私を、待っててくれるかもしれない、なにがしかの浪漫、夢に出会うためには、それ相応の覚悟と、苦労がつきものなのが私達の仕事です。
ナビに従って、山手通りを左折したとたん、ブレーキを踏みました。
ナビでは行けそうなんですが、目の前の通りはかなりきつそうです。
狭くて。ナビは前進せよと言ってます。
道路の細さと一方通行のややこしさ。
案の定、目的地に着いたものの、車は止められそうにありません。
再び、山手通りに出て、探すはパーキングのマーク。
どうにか車を置いて、200メートルくらい、汗を拭き拭き、やっと辿り着きました。新宿区上落合の、T様のお宅へ。
90近い父上が一人で住んで居られたお部屋に残された品物の買取の御依頼でした。
良く有る事です。
綺麗に仕分けが終わっている物には、私達が欲しがるものが残っている事は殆ど有りません。
常々、仕分けの前に出会いたいと思ってます。
明珍の火箸が有りました。裸の蓋置が三つ。以前、茶道具が有った形跡が残ります。
美術書、美術展の図録が何冊か。然し、額に入った絵は有りません。
何とか私が連れて帰ったのが、この14代柿右衛門の湯呑揃いでした。

14代柿右衛門の買取

14代柿右衛門の買取

人に好かれる物でも世の中に数ある物は、高い評価は難しくなります。
買取は気持ちよく終了しました。
時は午後の2時前、今日のお日様も容赦のない暑さ、小脇に柿右衛門を抱え、パーキングに向かう私の目の前に可愛らしい「ラーメン」の暖簾。
料理の速さ、程良い冷たさ、お店のお姉さまの可愛さに納得です。
早く私の夢と、ロマンに出会いたいものです。

港区高輪で、【小林和作の油絵】、【カシニョールのリトグラフ】の買取。

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小林和作の【伯耆大山の秋】です。
もう少し、涼しくなって出会えればと思う、小林和作の素晴らしい作品です。
もう一つは、矢張り、夏の終わりに似合いそうな、カシニョールのリトグラフです。
今日はなんとなく、冷たいスイカも、甘くて冷たいモモも、氷が飛び散る、氷イチゴも、全て、ごめんなさいでした。
早くこの暑さから逃れ、冷たい水に、頭から潜りたい一心で、ひたすら、港区高輪の、M様の下に向かいました。

普段は学生の多い街です。

何故か今日は学生達の姿が見えません。
何故か、コインパーキングは全て満車。

「着物と絵を買って下さい」
何と無くか細い、可愛い声に誘われて、お尋ねした、夏の高輪の、かなり老化の見える5階建てのマンションの3階の一室。
残念ながら、着物は、無料で頂いていいでしょうかのレベル、ソファの横に額が4,5枚。
呼んで下さった、お母様は、この額たちの過去を知りません。
なぜ、ここに居るのか。
私が欲しかったのはこの2枚だけでした。

和作の油絵

和作の油絵

カシニョールのリトグラフ

カシニョールのリトグラフ

どうにもならない、着物の処分を引き受け、額2枚のお値段を申し上げると快くうなずいて下さいました。
車の所に一秒でも早く戻りたい私、一時でも早く店に戻り、頭から水につかりたい私。車は何とか無事でした。
高輪のM様、今日はお声を掛けて頂きありがとうございました。

豊島区千早で、【掛け軸の買取り】でした。

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段ボール箱にして、約、30箱ぐらいは有ったそうです
上下2段の重量本棚が4本。
中身の本類は一冊もありませんでした。
今日お邪魔した、お店のすぐ近所、千早町3丁目の、F様のお宅の書斎の一場面でした。
「みんな持って行ってもらったの、◇◇◇OFFさんに。」

「いつですか?」
「ちょっと前に。」
良くある一場面です。
「どんな本だったんですか?」
「私は良く分らないけど、うちのお父さんは、高校で美術を教えていたからねー。」
お話をしているうちに、喉の奥が異様に乾き始め、「すいません奥様お水一杯いただけますか?」
私も本が好きだと、言おうと思ってやめました。
思いの物に出会うのは至難の事です。全て、縁だと思ってます。

「こんな掛け軸、売れるかしら?」
呼んでいただいた本題に入ります。
最近、掛け軸程、お値段の提示が難しくなった物も有りません。
残念ながら、今日目にした物もその類でした。
いつも顔を合わすご近所の奥様です。
何とか喜んでいただけるお値段で、頂いて帰りました。
此の3幅の軸だけが結果によっては、楽しみのある作品でした。

楽しみの掛軸3幅

楽しみの掛軸3幅

「今日は上のウナギが食べれるわ!」
喜んで頂いた千早のF様、暑い中お店まで来て頂きまして、大変、有難うございました。

世田谷区松原で花台、中国香炉の買取

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今日のキーワードは、朝顔、蒲焼、蝉の声。
朝、店に向かう道、白い日射しの中で、紫の朝顔がほほ笑んでました。
迎いの料理屋さんの暖簾から漏れるランチタイムの蒲焼の匂い、昼過ぎに訪れた、世田谷区松原の、M様のお部屋で聞こえた、ミンミンゼミの声。
私は子供のころから、ミンミンゼミの声を聞くと、あー、間もなく秋なんだな―と、何と無く心がさびしくなります。
今日の松原のM様御夫婦、失礼ですけど、私よりはかなり御先輩です。
「何にも無いけど来て見てくれるーっ?」
昨日の夕方のお電話でした。
15年ほど前手に入れられた(これだけでも私には感動です)自宅の中を整理なさりたいとの事。
矢張り、贈答品類が私を待ってました。
奥様の、使わないバッグ類、古い人形達も待ってました。
古い棚、机、もろもろを整理なさりたいとの事。
片付ける場合、かなりの費用がかかります。
お見積りの話をしながら、出された品々を車に積み込み、「もう何かありませんか?」
これがこの花台と、中国香炉でした。
IMG_2632
唐木の花台と中国香炉
この香炉が、古い、白玉で有ったらどれほどのサプライズだったでしょう。
友人から頂いという以上の評価は出来ませんでした。
テーブルの上のチラシの山の一番上に、私のチラシ。
有りがたい事です。
今後の整理の件も含めて、御夫婦が目と目を合わせて喜んで下さいました。
車を出すとき何処からか蝉の声。
とても静かな素敵な、何と無く秋が近そうな、世田谷区松原のM様御夫婦との出会いでした。

今日も台東区で【源右衛門花瓶】の買取でした。

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「売りたい物が有るんだけどちょっと来てくれる?」
何と無く貫禄の有る、多分、御高齢の女性からのお電話でした。
お邪魔したのは昨日と同じ、台東区は東上野、春日通りから清洲橋通りに入ってすぐの、かなり年季の入ったマンションの5階の一室。
あいにく道路脇の有料パーキングエリアには空きは無し。
暫く考え、意を決してハザードを点けてエレベーターへ。
オートロックが無いのが助かりました。
迎えて下さったのは目つきの鋭いお母様。車いすでの対応でした。
頭が下がります。
品物を仕分けする私の背中に刺さる車いすからの鋭いまなざし。
奥にいる息子さんのお手伝いでしょう。テーブルの上には贈答品のひと山、畳に置かれた、毛布タオルの口。桐の箱には着物の一団。
然し、残念なことに、評価の厳しい物たちばかり。
こういう事はしょっちゅうです。
品物を置きなおしながら、下の車が気になります。
せっかく呼んで下さった、体の不自由なF様。
何かを買って帰りたい私に、仏壇の横の黄色い花瓶が、目に入りました。
源右衛門でした。
箱は無いそうです。

源右衛門花瓶

源右衛門花瓶

買取の難しい品物の説明と、源右衛門のお値段の提示を致しました。
目つきの鋭さに似合わず、快く、うんと言って下さいました。
支払を済ませ、コーヒーでも飲んで行けばのお言葉を背に、源右衛門を抱えてエレベーターのドアにまっしぐら。
何とか車は無事でした。
私を呼んで下さったF様、感謝いたします。

店に帰ってみると此の花瓶意外と大きいんです。
20cm位の物は良く有りますが、これは、35cmくらい有りました。
とても良い品物でした。
F様有難う御座いました。

台東区谷中で、【観音様】【菩薩様】【大黒様】の買取。

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今日は久しぶりの谷根千でした。
道灌山下から団子坂下を左折、よみせ通りへ。
相変わらずの人の波。
日暮里駅西口に通ずる細い道からは、あらゆる人が押し出されてます。
殆どは頭に帽子、背には鞄の、御高齢のカップルと、あらゆる国からの年齢不明の男女達。
ここに店を構える人が羨ましく見えます。
そんなよみせ通りから一本入った路地の奥に、可愛い日本家屋がひっそりと一軒。
私を迎えて下さったのは、こんな場面にぴったりの、白いエプロンがまぶしい小柄な女性でした。
私を呼んで下さったいきさつを聞いて、またまた感激の私。
ピカピカの廊下に並べられた”骨董品”の買取の依頼でした。
結局私が連れて帰ったのは、この、観音様、菩薩様、大黒様でした。
象牙、西望、ブロンズでした。

象牙の観音様

象牙の観音様

北村西望作聖観世音菩薩

北村西望作聖観世音菩薩

店に帰り、もう一度、観音、菩薩の意味を検索させられました。
ここのところ体の不調で、何軒かのお客様、お断りしてました。
御不快な思いの方、申し訳ありませんでした。
2週間くらいで、診察券が4枚増えてしまいました。
今日呼んで頂いた、谷中の可愛らしい、T様に感謝しながら、観音様の埃を落としてます。
台東区谷中の、T様、本日は有難う御座いました。

一年振りの赤坂のお客様から【宮永武彦】の買取。

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多分、自分の息子よりは若そうな、今日初めて、診察を受けた、接骨院の先生の言葉。
かなりのショックを受けました。
このところ、何と無く目をそむける事の多かった自分の年、それが正しく自分の、筋肉、筋力の代名詞だったようです。
このところの体のあちこちの痛みで、ついに私も一軒の接骨院の窓口に保険証を出しました。
帰り際には左の肩には青い色のテープが張られてました。生まれて初めてです。
それほど、筋力が落ちてたとの事。
今は、先生の言葉を信ずるほか有りません。
ここは姉が通ったり、体の不自由な母を何度か車で連れてきた場所です。

人生というメニューの中で、仕事は、かなりのウェイトですが、一番は、矢張り、自分の健康だと思います。
私はせっかちで、かなり無理をするタイプです。
そんな私への、大事なサインかもしれません。
そんなところへ、確か一年ぶりのお電話です。
昨年の5月、新宿区の南榎町で呼んで頂いた、K様でした。
その時は、確か、銀製品、鼈甲、金貨、切手、それと、岩橋永遠の日本画を買取させて頂きました。
今回、呼んで頂いた港区赤坂の自宅は、解体なさるそうです。
うらやましいお話です。
3階建ての階段のお宅でした。
又、無理をして、汗をかきながら、品物をおろしました。(やらなければ良い物を、やらずにいられない私です。)
殆どが古い、贈答品でしたが、その中で出会ったのがこの女性です。
サインは宮永武彦、しかし、額装、状態がいまいちで、K様納得のお値段で頂戴いたしました。

笹島喜平の版画

一緒に連れてきた笹島喜平の版画

これらが、何とかいまの私の、体の不都合への良薬になってくれればと思います。
一年ぶりに私の名刺を探して下さった、K様、有難う御座いました。

 

新宿区で【今右衛門】の買取。神楽坂の3階で。

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温度計の目盛の上昇と反比例して仕事への熱意が薄れてゆきます。
これから少なくとも3カ月、いや、4か月は予測される暑さとの闘い。
それはまさに自分との闘い、歳との闘いなんです。
こんなときに仕事の場面で、お客さんの口から年の話なんかが出て、思ったより、自分が老けてるような表現をされると、その瞬間から、全てのモードは、フリーズ状態、応答なしに、陥ります。
今日の午後、新宿区、神楽坂、M様との出会いはまさにそのような場面でした。
知り合いから、電話番号聞きましたと言って呼ばれた方に向かうときは、アクセルにも自然と力が入ります。
M様に聞きました。
「入谷の知り合いに聞いたのよ」
それだけで私のモードは、ワンランク、アップします。
ところが、お目当ての品物が何もないんです。
「なんで私を呼んだんですか?」
私ももっと確認すればよかったと思います。
神楽坂と、和食器というキーワードに誘われて、狭いコインパーキングに、やっとのことで車を入れて、M様のいる、かなり古いマンションの3階まで、細い階段を上がってきました。
30年ほど自分でお店をやられ、残った食器などを、こちらに運んだので見てほしいとのことでした。
とてもお元気で、これからでもお店を始められそうな方でした。
そんなとき、お互いの年の話なんかしたおかげで、私のモードは急降下です。
悔しくて、殆どごちゃごちゃの食器棚の奥から見つけたのがこの今右衛門のデミタスセットでした。
古伊万里風、染錦金彩のカップ&ソーサー6客です。
私の好きなアイテムです。

今右衛門のデミタスカップ&ソーサー

今右衛門のデミタスカップ&ソーサー

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帰りの階段とコインパーキングの料金が気になります。

御本人もこれがどうしてここに有るのか記憶が無いそうです。
M様の納得の金額で、今右衛門だけを頂いて、夏の日差しの神楽坂を後にしました。

入谷のお客様に感謝しながら。
箱が見つけられなかったのが心残りです。