初秋に出会った「ヒロ・ヤマガタ」|杉並区南阿佐ヶ谷にてリトグラフの買取

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「この額に入っている立派な山は?」

広く、良く整理された玄関に掛けられた大きさ10号くらいの額に、晴天に彩られた雄大な山の写真に思わず目を奪われました。

「福島の会津磐梯山なんですよ」

遠い記憶の引き出しから、若いころ友人と一緒に登った記憶がフラッシュバックで蘇りました。あまり良い記憶でなく、足を引きずりながら登ったあの頃(笑)

「亡くなった主人の実家が、福島なんです」

 

杉並区南阿佐ヶ谷でのご依頼

杉並区南阿佐ヶ谷

今日は、9月に入ってすぐお電話を頂いた、南阿佐ヶ谷にお住いのS様宅にお邪魔しました。地下鉄丸ノ内線の「南阿佐ヶ谷駅」から程なくにある閑静な住宅地です。

恐らく築30年は過ぎているであろう立派な木造住宅。

庭にはお手入れが行き届いた植栽が、元気に葉を広げてました。
紅葉前の紅葉かなんかでしょうか。

私の好きなロケーションのひとつです。

随分と長く付き合っている我が愛車を停めて、ドアから降りると石垣の塀にトンボが2匹。
そういえば、ここ最近は夏の暑さから、秋の雰囲気に様変わりした気がします。

時間が経つのは早いものです。

 

インターフォン越しに奥様の声。

落ち着いた、それでいて愛嬌のある声に誘われて、ご自宅へご案内頂きました。

「どうぞお上がりになって。」

中は現代の叡智を駆使した、バリアフリーが行き届いてます。花柄のスリッパに替えると、テーブルの上には一杯の冷たい緑茶が私が待っててくれました。

有りがたい事です。

 

ヒロ・ヤマガタとの出会い

ヒロ・ヤマガタ

アンティークの箪笥は丁重にお断り致しました。着物はタンス一棹から、大島、単衣など、約10着ほど、頂きました。

そして、床の間には古い額に入ってある絵がふたつほど、ひっそりとこちらを見てました。亡くなった旦那さまが、まだ働き盛りのころ、美術好きの友人から購入して大切にしてた物だそうです。

「お父さんの趣味のものだったんだけど、特に場所も取らないんでそのままにしてたんです」

最近ではそんなに売れる物では無いと思ってたそうです。

然し、よく見るとひとつは「ヒロ・ヤマガタ」のリトグラフでした。

ヒロのシルクスクリーン技法を用いた、鮮やかな色で描かれた色合いの絵が、異国にでもいったかのような錯覚を覚えさせます。

日本ではこのような、カラフルな色使いの版画があまりにも有名なんですけど、世界のヒロヤマガタとしては、レーザーやホログラムを使った作品の方が評価が高いんです。

「この絵を見て、お父さんいろんな場所に行きたがってたんです」

旦那様は、生前、足が少し不自由だったそうでどこに行くにも制限があったとのこと。昔TBSかなんかで放送されてた「世界遺産」という番組や、その他旅行関連のテレビが好きだったんだそうです。

 

奮発して、私なりの高額査定

ちなみにこの「ヒロ・ヤマガタ」の作品、一時かなり高価で取引されました。誰でも欲しがりました。

値段によっては、この思い出の詰まった絵を手放しても良いというお話。

先ほど見た会津磐梯山の広大なカットを思いながら、私も目いっぱい、心を広く、奮発してみました。

帰り際の玄関前で奥様の柔和な笑顔、そして「ちょっと雰囲気の飲まれたかな(笑)」という私の心に一抹の不安。

何故か今日、ここで出会ったヒロ・ヤマガタは何を意味してるんでしょうか?もしかするとたまには仕事を休んで、思い切って旅行でも行ってみたら、なんておてんとさんが言ってるのかもしれません。

すぐにはいけなかもしれないので、今日は行きつけの銭湯でも行って富士山でも眺めて一息つこうと思います。

 

そんな初秋の1日でした。

日本人形と花瓶の買取|茅ヶ崎市幸町のお客様宅で不用品の片付け

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じわじわと体力を削られるようなそんな日々が続いた先週水曜日。

最近買い替えたばかりのスマートフォンが鳴りだしました。

売却予定の古い大きな家があるんですよ

いつもごひいき頂いている、某不動産管理会社の方からのご依頼です。

 

茅ヶ崎市にて不用品の片付け作業

午前の国道1号線

夏の終わりを感じさせる国道1号線を、西へと向かいました。

この日の陽気は、真夏の感じから一転、ちょうど秋の始まりを感じさせるような爽やかな風が吹いてます。

向かった場所は茅ヶ崎。

JR茅ヶ崎駅からほどなくの、細い道の入り組んだ住宅街に有る、矢張り、築40年以上は軽く経過しているであろう、木造2階建てのお宅でした。

売却が決まり、ほどなくこの歴史と貫禄のあるご自宅を解体されるんだそうです。

 

花瓶や湯飲み、人形など不用品の片付け

売却物件の不用品片付け

「いらっしゃい、今日は涼しいねえ」

お出迎え頂いたのは、わたくしよりも明らかに先輩と思われる奥様。
目じりの皺が、様々な荒波を乗り切った勲章として私の目に飛び込んできました。

ある程度、不用になったものは整理した、というお部屋にさっそくご案内頂くと、お部屋入った瞬間に私のセンサーが鳴りました。

「おっ、これはもしかすると・・・」

ご高齢の家主様が長い年月で様々な方から頂いであろう贈答品の類達が部屋にあふれております。

そんな期待に胸を躍らせながらの作業となりましたが、一瞬、嬉しがったのもつかの間、買取できるものが殆どないような状況。

「そんな日もあるよ」

なんとなく自分を慰める言葉を小声で呟いてる自分がいました。

その中で恐らく、長年不用であったため、暗い押し入れに収納されていたであろう、今でも、欲しがる人を探すのが難しい、人形、湯呑、花瓶の器達が目につきました。

私も一度下がった気持ちを、なんとか自分なりに盛り上がて、重いのも忘れ、つい車に積み込んでしまいました。

 

しばしの小休憩

その後、作業中に奥様から、お茶とお菓子を頂戴しました。

少し年期の入った有田焼と思われるゴツゴツとした湯飲みに緑茶が一杯。今日は真夏なのに秋のような陽気だったんで嬉しい一杯です。

カステラを頬張りつつ、少しの時間、仕事のことを忘れて奥様としばしの世間談義。

スマートフォンの操作に関しての難しさ、

お互いの息子・娘の話などついつい話し込んでしまいました。

「この家もお父さんがなかなか売ろうとしなくてね」

今回の売却に伴う、確信的な話が奥様から口からポロポロと出始めたころに、わたくしも気を遣わせて頂き、小休憩から片付け作業へと向かわせて頂きました。

 

日本人形と花瓶などの買取

日本人形と花瓶の買取

一通り作業を終えて、買取させて頂いたのは女性型の衣装人形・歌舞伎人形などの日本人形、そして多種多様の花瓶たち。

特に人形に関してはシミ、汚れ、破損などがほぼ無い状態。且つ付属品やケース、外箱なども揃っており少し奮発してお預かりすることになりました。

最初はどうなることやら、と下を向いてしまった私ですが、なんとか納得できるものを引き取らせて頂くことができました。

トータルの作業時間は5時間。

外に出ると、ちょっと日が落ちてるように感じました。まだ、あの秋を思わせる風がさらさらと吹いてます。

改めて国道1号線にのり、車の窓を全開にして吹きすさぶ風邪を顔に受けながら茅ヶ崎の海を後にしました。

 

ご自宅の売却・引っ越しで出た不用品の片付けはお任せ

片付け後

片付け後

買入れ本舗では、ご自宅の売却や引っ越しなどで不要になったものなどの片付け・処分を行っております。

何かございましたらお気軽に連絡下さい。

 

三代目・徳田八十吉の小さな花瓶との出会い|新宿区矢来町での九谷焼の買取り

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ここ数日の雨は、今年の梅雨の分でしょうか。

東京都内では降雨の日が16日を数え、戦後最長になっているそうです。

そんな雨がしっとりと降り注ぐ本日。
新宿区の矢来町のH様のお宅から、小さな花瓶を引き取りさせて頂きました。

古めの、貫禄のある木箱に綺麗に納められた、徳田八十吉の作品です。

 

遺品整理で不要になったガラクタの引き取り依頼

新宿区矢来町

「お盆明けの水曜日、ここしか時間がないんです」

盆明けの16日になる本日、どうしても今日中に整理したい品物が有り「お宅に見てもらわないと正直わからない」とのお電話を頂戴しました。

ニュアンス的にはもしかするとガラクタかも、そんな雰囲気も伝わってきます。

ただ、私どものつたないブログを読んでくださって、今回はうち1本にしか連絡していないという心意気も感じ、矢来公園の先の信号を左折し、お目当てのH様のお宅へ向かいました。

 

九谷焼の最高峰・三代目・徳田八十吉作の花瓶

三代目・徳田八十吉

今回は、亡くなったお父様の遺品の整理がひと段落したところ、処分してよいか迷った品物を見てほしいとのことでした。

お父様のお部屋は2階の部屋。

ある程度の片付けは終わってはいるものの、その部屋の押し入れには無造作に荷物が積み重なっている状態。

いくつかの名のない骨董品などを手に取りながら、お父様の遺品を丁寧に拝見させて頂く中で、古い桐箱に納められた花瓶が数点、そして愛用されていたであろう着流しの着物が敷き詰めてありました。

その中の同箱にひっそとり収まっていたのが、
今回引き取らせて頂いた徳田八十吉作の小さな花瓶です。

そっと同箱を開けるとあの独特の「青手」と呼ばれる色彩が目に飛び込んできました。

初代八十吉とは作風がまったく異なり、「青手」と呼ばれる古九谷から持ち入れられた上絵釉薬の色彩を生かす「温故知新」的作品は、三代目の一番の特徴。

 

花瓶と数点の着物を買取

ちいさな花瓶

そんな訳で、この花瓶と数点の着物を買取させて頂きました。

H様は、ちょっとのお小遣いになればと思っていたらしいですが、思わぬ「収入」を得られ大変驚いていらっしゃいました。

徳田八十吉の作品は多くの陶磁器の中でも 国内外の多くファン、コレクターから愛されています

買入れ本舗では、東京都内近郊での、徳田八十吉(正彦)をはじめとする、有名陶芸家の作品の買取に力を入れております。

コンタックス製のカメラとの思わぬ出会い|新宿区中井でカメラ・レンズの買取

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「はあ~、お若くお見受けします」

本日、昨年に新設された「山の日」にお伺いさせて頂いた、新宿区中井にお住いのJ様。

昭和23年のお生まれとのこと。
その肌ツヤは70歳とは思えないくらい、健康そのもの。

わたくしの直感で、恐らくご主人様お一人でお暮らしのご様子です。

 

新宿区中井で生前整理のご依頼

西武新宿線・中井駅

ここ数年で、身内の方、またご友人の方が天国に旅立つ姿を見て、そろそろご自身の身の回りの整理を始めたいと事で、この度お伺いさせて頂くことに。

いわゆる「生前整理」とでも言うんでしょうか。

今回は、ご主人さまの趣味として昔読まれていた古い本の整理をして欲しいというご相談です。

 

古い歴史書や小説など古本の整理からスタート

まずは2階の書斎にご案内頂くと、大分年期の感じる本棚に古い本がぎっしりと詰まっておりました。

好きで見ていたという小説から、カバーがかなり擦り切れている歴史叢書や宗教・哲学書までかなりのボリューム。

正直、私の期待していた古い絵葉書、古い映画パンフ、古い車のパンフレット、紙ものや刷り物はなさそうですが、汗をかきかき、正しく整理のお手伝いをさせて頂きました。

すると、「あんた、カメラも分かるのか?」

との掛け声が。

 

思わぬコンタックス製カメラとの出会い

コンタックス製カメラ

「ちょっと見てみるか」

そんな訳で、リビングにご案内頂くと、威厳の感じられる木製のテーブルの上にクラシカルなカメラが3台。拝見させて頂くと、見慣れたロゴが記載しております。

「CONTAX(コンタックス)」

「Gシリーズ」と言われているタイプを筆頭に「G1」「T2」「T3」と並んでました。
私の好きなアイテムの一つ。

コンタックスGシリーズは、たしか京セラが1994年に最初のモデルを発売したと記憶してます。

2005年まで販売されて交換レンズを主として周辺機器によりシステムを構成するので、ファンの間でも相変わらず根強い人気を誇ってます。

 

ピオゴン・ゾナーなどの付け替えレンズも

ピオゴン・ゾナーなどの付け替えレンズ

「ついでにこのレンズもあるんよ」

そして、カメラボディのその横にはしっかりとメンテナンスをされているであろうレンズが並んでおりました。

ご主人様は交換レンズとして

  • BIOGON(ビオゴン)
  • PLANAR(プラナー)
  • SONNAR(ゾナー)

を愛用されていたそうです。

ビオゴンは広角レンズになり、プラナー・ゾナーは集点レンズ。このレンズを使いこなして、ご主人の好きな自然の風景を何枚も撮影されたんだとか。

正直私も、これだけ綺麗な状態なものを引き取ってよいものかと思ってしまうくらいです。

 

古本の処分とカメラ・レンズをまとめて引き取り

「これ、いいんですか?」

「ええんよ。あんたカメラも詳しそうだし。あと早めに整理したいしさ」

古本の整理が余程気に入ったご様子で、今回はこのカメラとレンズも引き取らせて頂くことに。

私の買取金額も、必然的に奮発する形となりました。

一連の作業が終わった後、リビングでご丁寧にお茶を出して頂き、ご主人さまの写真の話を拝聴させて頂きました。

帰り支度を整え、玄関までお出迎え頂いたとき、真っ赤に染まった夕焼けが辺り一面を赤に染めてました。そんな紺碧の空を、ご主人が見つめていたのが印象的でした。

J様、この度は有難うございました。

買入れ本舗では、古い物、古美術品の買取をさせて頂きながら、皆様の身の回りの整理のお手伝いもして居ります。

大正ロマンを醸し出すのアンティーク照明との出会い|東京都港区にて買取

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突然なんですが
最近思うことがあります。

「すべての物事に対して、効率を求めすぎていないか」

もしかすると、わたしのような古い人間の、凝り固まった考えかもしれませんけど(笑)

ただ、今年に入ってから風雲急で状況が変わってきましたよね。

例えば、働き方なんかは顕著に出てます。「NO残業」「既定の時間に帰社」、また月末の金曜日には「プレミアムフライデー」なるものが制定されました。

国も、無理にでも娯楽のタイミングを設け、国民ひとりひとりのお財布の紐を、必死に緩めようとしてます。

私が感じるのは、ちょっとずつ、アメリカナイズな風潮からひと昔前の日本のような状態に立ち返ってる気がするんです。いわゆる原点に戻ってるような。

なんでそう思ったか?単純な話です。

アンティーク照明の引き取り依頼

実は今日、港区の白金台にお住いのM様のお宅で、大正ロマンの雰囲気をまとった、アンティークの照明を買取ったからなんです。

平成の時代と逆行するような時代にだった大正・昭和初期。

得に大正時代は15年と非常に短かった時代にもかからわず、今もそのころの浪漫に触れたいがゆえに、このようなアンティークものを所有する方も少なくありません。

その頃って、ひとりひとりの美意識が洗練されたんでしょうね。

「チラシを見ました。照明を一度見てほしんです」
そんな電話が今週の火曜日に入りました。

どことなく上品な、電話越しに着物でも来てるんではないかと思わせる言葉尻。そんな声を聞いて、店内の接客で忙しくしていた私のテンションを鎮静してくれました。

電話の内容は、依頼者の方の母上が最近お亡くなりになり、遺品の整理をされていたとのこと。その際に、捨てるかどうするかの判断が付かなくなり、今回連絡をくれたそうなんです。

白金台の落ち着いた一軒家

白金台

場所は、白金台。

お客様宅の近くには、あの北里柴三郎の「北里大学」があります。

どことなく東京の喧騒を一瞬忘れさせてくれる場所。ちょっとの間、あたりを見渡し大きく深呼吸し、お目当てのM様のお宅へ。

「今日は、昨日よりも少し涼しいでしょう」

ありがたいお気遣いの言葉を頂き、お出迎え頂いたのは髪をきれいに結った奥様。柔和な微笑みがチャーミングな、それでいてちょっと知的な雰囲気を感じました。

お電話でも軽く伺ってましたが、奥様の母上がお亡くなりになりなったそうなんで

す。今現在も使用している家具・家電には思い入れがあり、捨てるに忍びなくどうせならプロに引き取ってほしいということです。

お部屋にある大正ロマン風の照明

照明アップ写真

さっそく、お部屋にご案内頂き、奥様が指をさされた方向を見ると、一瞬昔の時代に舞い戻ったような錯覚を感じさせる、照明がひっそりとありました。

それは、大正ロマンを思わせる、
落ち着いた光を放ってました。

その光は少しオレンジがかてっており、独特の雰囲気をその部屋に供給してます。

形状は、どことなく海を浮遊するクラゲのような。
その丸みを帯びたデザインは、一種のやさしさを感じました。

そんな照明の光を感じつつ、壁に気になる絵が。

「そこの絵画はもしかして‥。」
「竹久夢二です」

久々に見た夢二の絵画。正直照明よりもそちらに目がいっちゃてました(笑)ただ、これは今回のご依頼の対象ではなかったんですが、この照明の雰囲気で夢二の絵画を見ていたとき、あの時代にタイムスリップした感覚でした。

その後、別室にも同様のアンティーク照明があり、合わせて3点。
母上が暮らしていたとき、ずっと天井から見守っていた「主」を引き取らせて頂きました。

「お母さまの記憶の片りんを、大事に預かります」

抽象的な言葉で最後の挨拶をしたとき、奥様が出迎えていただ時の笑顔より、ちょっとだけ大きくなったような、そんな気が致しました。

帰りの車中、西日がちょうど落ちるタイミング。

その色はこのアンティーク照明を思わせるい色合い。もしかしたら先ほどのお母さまが、「照明をよろしくね」と言ってくれてたような感じがしました。

久々に、心が芯から落ち着くそんな仕事でした。

M様、この度は買入れ本舗をご用命頂きありがとうございました。

アンティーク品の引き取りはお任せください

アンティーク照明などはコレクターの中でも今も根強い人気を保っております。

買入れ本舗では、東京都内近郊での、アンティーク品の買取に力を入れております。

平櫛田中(ひらくし でんちゅう)の彫刻品との出会い|東京都千代田区にて買取

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本日は、千代田区の平河町のG様のお宅から、平櫛田中の彫刻作品を買取させて頂きました。

明治・大正・昭和、そして平成の時代を乗り越え、現代にタイムスリップした田中の作品。実際に現場でこの彫刻を見たとき、ことばでは表現できない衝撃が走りました。

「まさか、出会えるとは」

これ、正直な感想なんです。

この商売をやってると色々なモノを引き取るんですが、その中でだんだんと知識がついてきて、「いつかはこんなものを引き取ってみたい」そんな想いにかられるんです。

それのひとつが平櫛田中。


千代田区平河町のお客様からの依頼

千代田区平河町

この買取のきっかけは、昨日の夕方。

明日来れますか?

そんな電話が入りました。都内は急な積乱雲の影響で、ゲリラ豪雨に見舞われ店のものを店内に避難させてるところでした。

電話の内容は、不要になったガラクタなどをどうしても明日には片付けたいので来てほしいとのこと。

どのようなモノか質問しても、「ただのガラクタかも知れないけれど、一度見てください」の一点張り。

ただ、どことなく品のある、それでいて「買入れ本舗さんでないと駄目なの」という私を信頼している感が節々に感じられたので、お客様宅へ伺いました。

場所は、千代田区の平河町。

すぐそこに「国立劇場」がそびえたつ、まるで日本の中心部に澪おいている錯覚に陥りました。さっそく、車両を駐車してお目当てのG様のお宅へ。


平櫛田中と突然の遭遇

平櫛田中

「今日はありがとう、昨日の今日で大変だったでしょ?」

お出迎え頂いたのは、背筋のピンとしたちょっと細身の、それでいて芯の強そうな奥様。あまり詳しくは聞かなかったんですが、近々で今のお住いを売却されるんだとか。お電話で急いでいたのもこれがあったんですね。

さっそく、お部屋にご案内頂き、2階の一室に通されました。
薄暗く、カーテンから外のこぼれ日が目に眩しい、そんな一室。

そこには、今回連絡頂いた奥さまが、まとめたであろう一塊のお荷物がまとまってました。古いバックや木箱に入った食器など。

ひとつひとつ丁寧に拝見させていただくと、その中には銅箱に収められた置物が2点ほどあります。

このとき妙な胸騒ぎがしました。
たまにあるんです、こんな現象が(笑)

期待と、そして思っていたのもではなかった時の落胆を最小限にとどめる慰めの言葉をつぶやきながら、おもむろに銅箱を開きました。

そして、2つ目の木箱に入っている彫刻品を見たとき、脳天に稲妻が走りました。

それが平櫛田中の彫刻でした

G様は、急ぎのご様子だったので、早めにことを済ませたいご様子でしたが、私の中では非常に思い出深い仕事になりました。


古美術品などの引き取りはお任せください

平櫛田中の作品は多くの彫刻コレクターの中でも今も根強い人気を保っております。

買入れ本舗では、東京都内近郊での、平櫛田中をはじめとする、著名な彫刻家の作品の買取に力を入れております。

神奈川県葉山町、「リトグラフの買取」。「ピカソ」のリトグラフ

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今日は神奈川県の葉山町です。

神奈川県葉山町のT様ご姉妹、今日は、お呼びに預かり有難う御座いました。御蔭さまで久しぶりに、葉山から逗子への海風に当たる事が出来ました。
西池袋の入り口から中央環状線に吸い込まれ、羽田を横に見ながら横横道路を縦断の、距離は85キロ、時間にして1時間半のドライブも間もなく終わり、葉山の御用邸を右に見ながら、再び山の方にハンドルを切ると、長い歴史に刻まれたT様お住まいのお上品な建物に到着いたしました。
私は居心地の良いところには長居をしてしまうみたいです。
初めてお会いした、T様ご姉妹から、素晴らしい人生遍歴などを伺いながら、コーヒー等を頂きながら、本題の、お話へ。
お引越しのお手伝いをさせていただきながら、不用な物を買い取らせていただくお話です。
今日は取り敢えず、カシニョールのリトグラフと、ピカソのリトグラフを買い取らせて頂きました。

ピカソのリトグラフ

ピカソのリトグラフ

他の物達もなんとか話がまとまりそうで、次は、春の葉山にお邪魔させて頂けそうな、私には結構な出会いの一日でした。

「私、幾つか大体分かるでしょっ?」
コーヒーを頂きながら、お姉さまからのご質問です。
私より、年配であろう事は推測できますが、少なくとも女性の方に対して、軽々しく、自分の口からうっかりでも、数字を口に出すことは簡単ではありません。
横の妹様が、「私は今年、7●歳で、この人は私の5歳上なの。」
わたしも、大体そんな処ではないかと思ってましたが、私が驚いたのは、「私が、インターネットで貴方を見つけたのよ。」

頭の先から足元まで、知性と教養の下着の上に、経験と自信のドレスを纏ったような、何と無く、往年のスタイル、容姿の素晴らしさを、今でも十分に感じさせてくれそうな、お姉さまのお口からこぼれた言葉に、私は一瞬、驚いてしまいました。

星の数ほど…葉山の海の砂の数ほどある、インターネットの同業者の中から、わたしに辿り着いて下さった、お姉さまに、そして、呼んで下さった妹様に、感謝の、お礼の言葉が見つかりません。

モノとの出会い、ヒトとの出会いは、とても貴重な縁から始まると私は思って居ります。

朝向かう時、ナビの情報を見ながら、ハンドルがいくらか重く感じられました。

帰り道。葉山から逗子への、土曜の午後ののどかな、春を待つ海岸。
渚橋の近くで心地よい海風にあたり、今日は葉山の海で、目に見えぬ大きなパワーを頂いて帰る事が出来ました。
素敵なご姉妹、T様。
またお会いできると思って居ります。
有難う御座いました。

 

台東区谷中で【古本】の買取。【版画集】、【写真集】、【画集】、【古書】の買取
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久々の谷根千でした。

春一番の昨日から、まるで真冬に戻った今日の谷根千。

空模様に関係なく相変わらずの人出です。

今日お会いしました谷中2丁目のS様。
そうですねー、とてもお若い、気さくな奥様と言う感じ。

築50年は過ぎた3階建てのお住まいからのお引越しです。

とても気楽に一階から三階まで案内されました。

殆どの品物が仕分けされ、もし私の方で、評価できる物が有れば、御自由にどうぞと言う感じです。

一階の駐車場に無造作に積まれた段ボールの箱とビニールのごみ袋。
これはどうしますか?
それは全部ごみなの。
そこから見つけ出したのが、昭和33年の記の有る鉄瓶とか、純銀の銘々皿とか。
あと、玉川堂の茶筒とか。

一階のソファの上には、中古のブランドバッグとか古い香水達。
皆、私の好きなアイテム達です。

品揃えの最中の私の前に、本の入った重そうな段ボール箱を一つ抱えた男性の姿。
一瞬緊張しながら、「その箱はどうするんですか?」
「これ?、そこに捨てるの!」と駐車場の方へ。

【古本、古書の買取】

ちょっと待って下さいよ!

と、私が集めたのが写真の古本達。
写真集、版画集、画集とか結構面白い物が目に入ります。

古本、写真集、版画集

古本、写真集、版画集

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本を持参されたのが、こちらの御主人、S様でした。
全て要らないとの事。

昭和13年生まれのお元気そうな方でした。
殆どが父上の残されたものであり、御自分にはもう用の無いもので、すでに大量に処分なさってしまったとの事。

残念ながら言葉が有りません。
残った物から活かす物が有れば私に全て任すとノコト。

有りがたいお言葉です。

引っ越されて、那須に有る別送の方に移られるとの事です。
先程からけなげに、一生懸命動かれてる気さくな女性の方。
素晴らしい奥様ですねー
に、
奥さんじゃないんだよねー
の、
御返事。
私のヘルパーなんだよね。30年位。

私も沢山のヘルパーさんを知ってますが、これほど羨ましく思えるヘルパーさんは知りません。

今日は本当に、素晴らしい物たちを大変ありがたく頂いた上に、素晴らしい人たちとの出会いでした。

今日の株価とか、バズーカとかマイナス金利とかに、殆ど縁の無い世界にお住まいのS様、羨ましゅうございます。

久々の谷根千、又お邪魔したいと思います。
S様、有難う御座いました。

谷根千とは、谷中・根津・千駄木の頭文字をつなげたものである。

 

 

今日はチョコレートを一つ頂きました。北大塚のS様から。

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85歳の北大塚のS様

春一番まであと一息という春の様な暖かさの中、北大塚の85歳のS様が、お店に現れました。いつもこの時間に現れては、せんべいだのまんじゅうだのを置いていかれます。

自転車の荷台にはいつものように買い込んだ食料品のレジ袋。

今日のお土産は、小さなチョコレートの小箱が一つ。

「これ、食べてっ!」
いつものような元気が有りません。

【近くの市場が閉店します。】

「あんた、そこの市場がやめるって知ってるの?」

私のすぐ近所には、昭和の終わりから30年位営業の、結構名の通った生鮮食料市場が有ります。
年の瀬になると、正月の買い出しのお客様の何重もの列が一日中続いた頃も有り、街の一つの風物詩でした。
営業努力をしなかった訳ではないと思います。
中々頭をあげてくれない景気の動向、昨日のお店のように、所謂、町場の飲食店等の数の減少で、年ごとに客数が減り、いよいよ営業をやめざるを得なくなってしまったというような事を、私も数日前に耳にしました。

確かにこの所、ここ数年、真近で見ている私の目にも、客数の減少ははっきりしてました。

イスに腰を下ろした、S様の口は収まりそうも有りません。

「私は時々、そこの市場に寄っちゃ、ここに顔を出すのが楽しみだったのに、、、   😥  」 さみしそうに語ります。
店の表は南風が強くなってきました。I

北大塚のS様

北大塚のS様

元気の無いS様の帰り途が心配です。

ラッパとバズーカ

「ちょっと前までは、経済再建だの、一億総なんとかっていう勇ましいラッパを吹いてたと思ったら、最近は何とかバズーカとか何とかで、景気なんかちっとも良くなって無いじゃない。困ったもんだよねー。私なんか、歳だから構わないけど。」

世の中の流れを良く御存じで。

今日の風のように、何時もよりはちょっと荒れ気味の、御高齢のS様。
どんな理由にせよ、こんなお年寄りに、心配事を作っちゃいけません。

何時もは何か必ず買って下さる、S様。 👿

「じゃ、又来るねー」 今日は手ぶらでお帰りです。

何と無く店を後にされた北大塚の85歳のS様。

北大塚のS様

自転車の後姿がいつに無く、さびしげで、風の強さが気になります。

景気の風は中々、春色に変わりそうも無いみたいです。

市場が無くなると、私の店もとても困る事になりそうです。
自転車姿のS様の、あの元気なお声を何時まで聞けるのか?
寂しい事です。

 

埼玉県三郷市の買取。【東京オリンピック記念メダル】、【沖縄海洋博記念メダル】。

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中川と江戸川の間と言うよりは、中川に近い、中川沿いの、三郷市の古いおうち、出迎えて頂いたのは、85歳と仰る、所謂モンペ姿の、白髪丸顔,金縁眼鏡の、F様でした。
広いお庭の車庫には車が一台。銀色のカバーに包まれてました。

中央環状から常磐道に入る手前、三郷ジャンクションから一般道に下り、何時ものように三郷の街に入ります。

関東平野の真ん中で、東京の直前で、昔から、北からの寒風をまともに受け止めてくれる街。この時期にここを訪れるといつもそう思います。強い北風を感じます。

銀色の車カバーの横に車を止め、私は何時ものようにお尋ねします。

「お品物は何ですか?私を呼んで頂いて有難う御座います。どうして私を呼んで下さったんですか?」

F様が、紺色のモンペの裾で手を拭きながら答えてくれます。

「息子が飯田橋に居て、相談したら、貴方の電話番号を教えてくれたの。」

またまた有りがたいお言葉です。

出して頂いたのが、古い着物、欅の卓袱台、掛け時計。

残念ながら、着物は古すぎたり、卓袱台、時計は壊れていたりで評価はかなりしんどそうです。

「そう思って、これも出したのよ。」

モンペの後ろから小さな包み。

藍色の風呂敷を解くと中から現れたのが、東京オリンピックの、記念メダルと、沖縄海洋博の記念メダルでした。

東京オリンピック記念メダル

東京オリンピック記念メダル

沖縄海洋博記念メダル

沖縄海洋博記念メダル

たまたま、最近、金の価格が下がってます。

ご説明申しあげました。

「わかってるわよ。もうこんな物長く持ってる時代じゃないでしょっ!」

まさしくその通りです。

最近は全ての物の価値観が急激に変化中だと思います。

世界中のおお金持ちが、手元の物の処分を始めるとか。

今日の品物も、現在、私達が積極的に欲しがるものでは有りません。明日の価格の保証が有りません。

飯田橋の息子様に感謝しながら、今、買える価格を申し上げ、金縁の眼鏡の奥で喜んで下さるお顔を拝見しながら、荷物の積み込みです。

帰りは、戸ヶ崎の信号を超え東京に入り、水元公園を左に見ながら、大谷田の信号から環七を抜けての帰路でした。

帰りの環七、かなり混んでました。このアナログ感、嫌いでは有りません。

綾瀬の駅の近くで何と無く懐かしいエンジンの音。横を抜けてく一台の車。

多分初代のフェアレディZでした。ドライバーの顔を拝見しようと追いかけましたが、追いつけませんでした。

夕暮れの環七、真っ赤なテールランプが一瞬で闇に溶け込み、灰色の空に向かって、消えて行きました。