東京港区赤坂の【ブランド食器】の買取、【ノリタケ】の【イナギュレーション】でした。
東京赤坂の買取
「此処には、昭和59年から住んでるの。私の歳、分かります?」
「いいえ」
「貴方は、何年生まれなの?」
「昭和2●年です。」
「私より全然若いじゃない!私は、1●年なのよ」
すぐに何歳か分かりました。
同じ年生まれの、同業の先輩が居ります。
乃木坂を下りた、赤坂9丁目。歴史の有る瀟洒なマンション、新しい建物が並ぶ静かな道沿いの落ち着いた建物の6階の一室。
こちらにお住いの今日のお客様、S様とのやり取りです。
「私、長年一人でここに住んでいて、そろそろ、身の回りを整理しようと思って…」
最近、良く耳にするお言葉です。
お部屋の中にはイタリアの輸入家具、床には赤の美しい、ペルシャ絨毯。
カップボードには、ヨーロッパのブランド食器。私の好きな物が見えます。
ノリタケのイナギュレーション
古い香水の瓶が何本かと一緒に、テーブルに上に出されていたのがこのノリタケの金彩仕上げの、イナギュレーションシリーズの、コーヒーカップ&ソーサー、プレート類のセットでした。
昭和54年のノリタケ創立75周年に際して企画された、ノリタケの当時の最高の素材、最高の技術で製作された、この世界では名器の一つに数えられるそうです。
当時の豊かな景気、華やかな世相を反映した素晴らしいアイテムの一つだと思います。
全部で30点近く、惜しむらくは、普段使いで使われた何点かに、ところどころ、金彩のはがれが見えるところ、コーヒーポットが見えない事でした。
物の数が豊かになり、より質の良い物を求められる今、当時ほど、この品に惚れ込む人は少なくなりました。
私の金額提示にもすんなりと話が決まり、素晴らしいガラスのテーブルに出された、ヘレンドのカップに注がれた温かいコーヒーを頂きながらの、世間話です。
又例の、マイナス金利のお話です。
マイナス金利で一喜一憂される方、かなりいらっしゃるようです。
「私の趣味は、新聞に目を通す事なの、毎日。ボケ防止でねっ。」
いえいえ、ちっともぼけては居りません、更にこんなコメント。
「この頃は、カ行の人の話が多いわねー。」
黒●…、清●…、金…、クリ●…、
こんなお名前が可愛いお口から零れます。
「私、ここに住んで、30年は過ぎたけど、今ほど、世の中がつまらない時はないわねー」
「マイナス金利だの、消費税だの、無かった頃が懐かしいわ!」
私もほぼ同感です。私の薄れゆく記憶の中で、当時、金融機関から借り入れをすると、確か年利10%近い金利を払わせられながらも、活発な消費で世の中が今よりははるかに潤っていたような気がします。
そろそろ美味しいコーヒーも終わりに近づきました。
白い壁に、様々な年齢の女性の写真。
その一枚を指さして、「これって、浅丘ルリ子ですか?」
「それはあたしよー!!!、これ全部私なの!」
荷物をまとめる私の背中から嬉しそうな一声。
「貴方は、この辺りに又来るの?来たら、寄って下さい。貴方の欲しい物あげるから。」
ホントですか?赤坂のS様。
是非、また、お邪魔してみたい、港区赤坂9丁目のS様との出会いでした。