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新宿区での【長火鉢】の買取。

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今年、61歳を迎える男性からの御依頼でした。
場所は新宿区、神楽坂とのことで訪ねたところ、早稲田通りと新目白との間の、一方通行、坂の多い、緑の少ない街並みの一角の、かなり古い木造のアパートの2階の一室でした。
綺麗に片付けられた畳の上で静かに私を待っててくれたのは、この長火鉢と、歳には見えない小太りの、頭の薄い、眼鏡をかけた、S様でした。

長火鉢の買取

長火鉢の買取

火鉢の上には、当店のチラシが一枚。
2年前の物でした。感謝致します。
国に帰るので一緒に連れて行こうと思ったが、どうしても邪魔なようなので、私に、買い取ってくれとの事でした。この長火鉢。
わけ有りで15年ほど前、東京に来た時、骨董市で買ったそうです。
値段を聞くと、びっくりでしたが、今の状況を説明申し上げ、私の買えるお値段を申し上げ、譲って頂きました。
正直、今ではそれほど欲しいアイテムでは有りません。S様もそんな感じです。
古い物ではありませんが、一部に唐木を使った、上品な一物でした。
部屋の中を物色させて頂きながら、支払いを済ませながらのいつもの世間談義です。
東京に来てから、いろんな仕事を見て来ましたが、結局、山口の田舎に帰り、親戚の畑を手伝うとの事でした。
いま、日本で、給料が上がったと思える人は人口の四分の一位で、残りの人たちはかなり厳しく、自分はそこから抜け出るのがきびいしいと自覚し、ほんとに歳をとってしまう前に、田舎に帰る事に決めたんだと仰ってました。
小説を書くのが夢だったらしいんですが、今回の芥川賞の結果を見て、田舎に帰る切符を買う気持ちになったんだと仰ってました。
私にも何とかわかる気がします。
お返しする言葉が見つかりません。
何とかこの火鉢を次の方にお届けしたいだけです。
狭い階段、15段も有り最後は曲がってました。何とか転げずに、秋晴れの新目白を後にしました。
当店のチラシ、大事にされれてた新宿区のS様有難う御座いました。
故郷でのご活躍、期待させて頂きます。

新宿区の買取、【錫の茶托】の買取

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豊島区から新宿区に入った辺りの山手通り沿い、長年、走るたびに目にする、交差点際の高台の住宅が有ります。
今日はそちらに呼ばれました。
此の角は何回通り過ぎてるかわかりません。
呼ばれたのは今日が初めてです。
まず階段を15段ほど上がって玄関です。そこからまた2階建ての住宅が始まります。
お願いされた桐のタンス、欅の古い水屋等は、無くなくお断りさせて頂きました。
近いうちに引っ越されるそうです。暑い中ご苦労様です。
お話を伺ううちに、例の通り私の額からは汗の塊、背中から腰までは、もうすぐずぶぬれです。
苦労して上がってきた階段です。
何としても手ぶらでは帰れません。
ちょっと硬めの押入れの襖を必死で開けました。
お稽古用の抹茶茶碗が七つ、評価の出来ない古い掛軸が5本。
必要無いと仰るので、頂くことになりました。
茶碗を動かすとその奥に出てきたのがこの茶托です。
矢張り御不用とのこと。
旦那様に、階段下まで、荷物の下しの手伝いをお願いしました。
快いお返事を頂き私も快い買取金額を提示して、快く頂戴する事が出来ました。
とても優しそうな旦那さま、とても仲のよさそうな御夫婦様でした。
羨ましくなるような。
此の茶托が、ここに有る由来は不明だとの事です。
こういう品物は、いつも出会いたいと思っている品物の一つです。
出会えると幸せを感じます。
会いたい人とか、会いたい物には、簡単に会う事は出来ません。
会えた時の喜びはひとしおです。
私はこの程度の出会いで、喜びと、感激です。

古い錫の茶托の買取

古い錫の茶托の買取

古い錫製の茶托でした。
かなり使われてます。
いつの頃、どのような方が、此の茶托でお茶を嗜んだのか、素敵な物は夢を見させてくれます。
古さの有る、重さの有る、冷たさの有る、古い灰色の錫の茶托を眺め、ひと時の涼しさを味わいました。
殆どお盆休みに入った、チョッと静かな、東京、新宿区の買取でした。
遠くに鳴く、ツクツクボウシの鳴声が何故か耳に心地よい夏の一日でした。