遺品整理中に出会ったヤマハ製のトランペット【ゼノ】|豊島区要町にて楽器の買取
「おたくのチラシが、一番信頼出来そうで」
玄関先には幾多のチラシが積み上がり、その一番上に当店のチラシ。
手に取って確認すると、去年の秋ごろに配布したものでした。
私どものチラシだけ、
ビニールか何かに入ってます。
そうして呼んで頂いた豊島区要町のF様。
要町二丁目の交差点を左に曲がり、細い路地の行き当たり、築40年以上は経っていると思われる雰囲気のある木造一戸建てのお住い。
70歳になる、旦那様と二人暮らしの奥様がお出迎え頂きました。
この方、とても可愛らしい奥様で、小柄な体を黒いワンピースで包み、女優の八千草薫に雰囲気が似てると言ったらよいんでしょうか。
亡くなった息子様の遺品整理
「息子の部屋を整理したいんです」
いつ帰ってきてもいいように、大学生の時のままの状態でお部屋を維持していたそのお部屋。
その息子様が、去年、不治の病に斃れてしまったんだそうです。
思い出に浸りつつ、でも前を向かなければいけない、そんな気持ちの葛藤に整理がついたのが年明けすぐだったと、奥様。
息子様の部屋の物すべてを整理なさりたいとの事。
その明るそうな笑みから発せられるお言葉に、正直返す言葉が有りませんでした。
そのような中で、今回私を呼んで下さったのは何かのご縁としか言いようがありませんが、白そんなに簡単な仕事ではありません。
私の長年の経験と、現状からの判断で。
おそらく、長い時間を掛けた後の決断で呼ばれた以上、何とか力になりたいのは山々です。
そのような状況で、まずはいつまでに息子様の整理したいのかなどを、ゆっくり時間をかけて伺わせて頂きました。
2月の2週目には落ち着かせたい、そう奥様がおっしゃりました。
ヤマハ製のトランペット【ゼノ】の買取
そんな中、奥様がおもむろに取り出したのが、
本日買い取って帰って来た
ヤマハのトランペット・ゼノ
部屋の整理をする前に、大切に取っておいたトランペットは、しっかりと私に話を聞いてもらってからお預けしたいとのこと。
私が呼ばれたのは、おそらく奥様が息子様のお話をすることで、少しでも前に進みたいという気持ちからでしょう。
お茶を飲みながら、話を伺わせて頂きました。
奥様から伺った、息子様の思い出話。
私にも丁度、同じ年代の息子がいます。
私も恥ずかしながら、頬に熱いものがつたってしまいました。
査定のポイント
このゼノシリーズはヤマハでも根強い人気を誇るもの。
ベルの刻印部分から先端部にかけての「首」の部分が太い独自のベル形状を採用してるのが特徴なんです。
細かな部分に至るまで形状や素材にこだわって最良なバランスとなるよう設計が、リサイクル市場でもニーズが高い一品。
私もおもむろにトランペットの動きがスムーズに動くか、
音がきちんと出るかをチェックさせて頂きました。
マウスピース部分はもちろん、ピストン部分はスムーズに動くかなど、細かな所をチェック。
奥様がときおり油を差していたそうでコンディションは上々です。
取り扱い説明書、証明書も残っており、且つ、付属品も揃っている状態でした。
ご納得頂いての引き取り
少し重くなりつつあった空気を打破し、査定の金額をお伝えすると、
「ええ、お願いします」
と一言。
後日談ですが、私が来る前からある程度お願いすると決めていたんだそうです。
そして、次の訪問日を決めて、帰ってまいりました。
この続き、心を込めて作業するつもりです。
F様が少しでも新たなお気持ちになるよう、全力を尽くしますから。
その日まで少々お待ちください。