東京都 板橋区 向原のお客様。【堆朱の硯箱】、【水滴】の買取。
東京板橋区向原のお客様。
「これってどうするんですか?」
「それは粗大ごみで、もう区に電話しちゃったの」
私が本日お訪ねしたO様のお宅です。
玄関を入るや否や、下駄箱の横に立てかけられた、のこぎりか何かで、二つに切られ、ガムテープでぐるぐる巻きにされた屏風の様な物。
幾らか時代の有る物ですが、今更ガムテープを開ける気にもなりません。
見ると確かに屏風です。
かわいそうに中に描かれた人物は真っ二つでした。
やはり、「何か、持っていけるのが有れば見てくれない?」
というお声がかりでお邪魔させて頂いたのが、お店から、歩いても5分、車でも5分の、板橋区向原の、白い塀に囲まれた、O様のお屋敷。
一昔前、この辺りには藁ぶきの家がちらほら見えました。
あちこちに畑だらけの長閑な場所でした。
O様もまさしく長閑な方で、私らが喉から手が出そうな物を無造作に、ビニールの袋に入れてます。
多分、重くて触れなかったのでしょう。此の為に私を呼んだのかも知れません
段ボールに5箱ほどの、古本を頂きました。
殆どが車関係の本でした。欲を言えばもう少し古ければ。
矢張り重たいレコードの山。汗をかきながら頂きました。
リフォームをなさるので不用品の片付けをなさってました。
堆朱の硯箱
先程のビニール袋の中から私が助けたのが、この硯箱でした。
ちょっと古めの堆朱の硯箱が一つ。
唐金の水滴
中におさめられた水滴が一つ。唐金製の中国風の可愛らしい一品。
O様、お願いですから、こういう物をお捨てにならないでください。
とにかく、有りがたく頂戴してまいりました。
僅かなお代を差し上げると、O様の金色の眼鏡がピカリと光りました。
有る所には有るんです。
帰り際白い塀から覗いていた可愛い梅の花です。
堆朱(ついしゅ)は、中国漆器を代表する技法である彫漆の一種である。彫漆とは、素地の表面に漆を塗り重ねて層を作り、文様をレリーフ状に表す技法を指すが、日本では表面が朱であるものを「堆朱」、黒であるものを「堆黒」と呼ぶ。ちなみに中国では、黒漆の層に文様を彫り表したものを「剔黒」、朱漆の層のものを「剔朱」という。通常の漆は硬くて彫刻が困難だが、油を混ぜることで、軟らかくなり彫刻が可能になった。
水滴 硯(すずり)に使う水を入れておく容器。水注。水差し。