【東京都板橋区高島平】不用品整理に伴うペルシャ絨毯の買取事例|UR住宅の明渡しで残されていたクム産シルク絨毯
目次
知人の弁護士からの、少し重たい相談
昼過ぎ、店に一本の電話が入りました。
相手は、長年付き合いのある弁護士さん。
「木村さん……正直に言いますが、“値の付く物は無い”案件かもしれません。」
こう前置きされる時ほど、
私は慎重になります。
「高島平のURで、明渡し前の整理です。荷物は残っています。ただ、骨董として買える物があるかどうか……。」
「構いません。一度、現場を見ましょうか。」
そう答えると、電話の向こうで、
少し安心した声が返ってきました。
板橋区高島平、生活の痕跡が残るUR住宅
環七を北へ走り、荒川を越え、
団地群が視界に広がると高島平です。
部屋に入ると、まず目に入るのは生活の跡。
食器棚、古いタンス、
使い込まれたテーブル、
畳まれた衣類の入った段ボール。
「ちゃんと暮らしていた部屋だな……。」
私は、思わず独り言を漏らしました。
物は“ある”けれど、“買えない”という現実
一つ一つ、目を通します。
食器は量産品。
家具は使用感が強い。
家電は年式が古い。
思い出は、たくさん詰まっている。けれど、市場価値として評価できる物は、正直、無い。
私は、弁護士さんに電話を入れました。
「先生、生活の物は揃っていますが……骨董として買える物は、見当たりません。」
受話器の向こうで、
小さく息を吐く音。
「やはり、そうですか……。」
そう言いながら、ふと、玄関脇に目をやると、壁際に丁寧に丸められた一枚の絨毯がありました。
私は、そこで足を止めます。
「……先生。一点だけ、絨毯があるんで見ていいですか。」
玄関脇で目に留まった一枚。広げた瞬間に分かるクム産シルク
絨毯を広げた瞬間、
私は、はっきり言いました。
「これは、クムですね。」
「クム……?」
「イランのクム産。しかもシルクです。」

電話口で、一瞬、沈黙。
「……そんな物が、残っていたんですね。」
派手さはありません。
しかし、文様は細かく、光を受けて、静かに表情を変える。
分かる人にしか、分からない仕事です。
なぜ、このペルシャ絨毯だけが残ったのか
房、縁、裏の結び。
一通り確認しながら、私は弁護士先生に言いました。
「先生、この絨毯が残った理由は、はっきりしています。」
「と、言いますと?」
「価値が分かりにくいからです。高価な物ほど、最後まで残ることがある。」
電話口で、「なるほど……」
という低い声。
整理費用と相殺する、現実的な判断
「金額は、どのくらい見られますか。」
慎重な問いかけ。
私は、現実的な数字を伝えました。
「整理費用の一部と相殺する形でならこのくらいが妥当でしょう。」
少し間があって、
「それで、お願いします。いやあ、正直助かります。」
派手な取引ではありません。
しかし、確実に、
一つの問題が解決した瞬間でした。
鑑定士として思うこと
私は、絨毯を丁寧に丸め直しながら、ふと、そんなことを思いました。
「思い出は、値段にはなりません。でも……長いこと一緒に過ごした物には、それなりの“役目”があったはず。」
この絨毯も、誰かの足元で、あるいは、部屋の片隅で、黙って暮らしを支えてきたのでしょう。
今日の一枚は、値段と気持ちのちょうど真ん中あたりに、静かに置かれているように見えました。
帰路の環七、少し肩の力が抜けて
高島平を後にし、いつものように環七の流れに戻ります。
夕方の渋滞。
赤いテールランプが、列になって伸びていました。
私はハンドルを握りながら、少しだけ、肩の力が抜けたのを感じます。
不用品整理の現場というのは、「捨てる・残す」よりも、「どう折り合いをつけるか」を考える場所なのかもしれません。
今日のクムの絨毯は、そんな折り合いのつけ方を、そっと教えてくれた気がしました。
まとめ|不用品整理の現場で、最後に残る「価値」
今回の板橋区高島平でのご依頼は、UR住宅の明渡しに伴う不用品整理という、決して珍しくない現場でした。
生活の荷物は残っているものの、市場価値として評価できる品はほとんどない。そうした中で、玄関脇に静かに残されていたイラン・クム産のシルクペルシャ絨毯。
不用品整理の現場では、
「価値の分かりやすい物」よりも、
「価値の分かりにくい物」が、最後まで残ることがあります。
思い出は値段にはなりません。
けれど、長い時間、暮らしの中で役目を果たしてきた品には、それぞれの“意味”があります。
私たちは、すべてを買い取ることはできません。しかし、買い取れる物については、その背景や事情も含めて、丁寧に向き合うことを大切にしています。
不用品整理・明渡し・相続など、「どう扱えばよいか分からない物」がありましたら、無理に処分する前に、一度ご相談ください。
最後に残った一つの品が、
思いがけず、次へつながる価値を持っていることもあります。








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